暮らし

バーミヤンを弄んだ

ミルクボーイ「メンヘラ」

「いきなりですけどね。うちのオカンが、学生時代の親友がおるらしいんやけど」

 

「あっそうなんやー」

 

「それがどんな人やったかをちょっと忘れたらしくてね」

 

「親友の性格忘れてもうて。どうなってんねんそれ」

 

「でまあ色々聞くんやけど、全然分からへんねんな」

 

「分からへんの?ほな俺がね、オカンの親友の性格、ちょっと一緒に考えてあげるから。その親友の特徴を教えてみてよ」

 

「オカンが言うには、自己評価が低いのに承認欲求だけは強くて、周りに迷惑をかけてるらしいねんな」

 

「おー、メンヘラやないか!その特徴は完全にメンヘラやん、すぐわかったやんかこんなん」

 

「わからへんねんな」

 

「何がわからへんの」

 

「俺もメンヘラと思ってんけどな、オカンが言うには、集合写真の時、前に寝そべってたらしいねんな」

 

「あ〜、ほなメンヘラと違うか〜、メンヘラは集合写真で目立とうとせえへんからね。そもそもメンヘラは集合写真の日休むのよ!メンヘラと違うやんそうなったら〜ほなもう一度詳しく教えてくれる〜?」

 

「オカンが言うには、親に対しては異常に当たりが強いらしいねん」

 

「メンヘラやないか!メンヘラはね、たいてい親と不仲なのよ。それどころか、この世の全ての災いは親のせいで起こると信じてるんやから!メンヘラで決まりやん!」

 

「わからへんねんな」

 

「何がわかれへんのよ」

 

「俺もメンヘラと思ってんけどな、オカンが言うには、夏生まれらしいねんな」

 

「ほなメンヘラと違うか〜、メンヘラが夏に生まれるわけないもんね。メンヘラはね、秋から冬にかけて生まれるのよ。メンヘラってそういうもんやから!メンヘラと違うやん!ほなもっと他に何か言うてなかった〜?」

 

「ピンクと紫の入り混じった服を着てるらしいねん」

 

「メンヘラやないか!メンヘラはね、ねるねるねるねみたいな色合いを好むのよ!「ゆめかわはメンヘラの始まり」なんやから。メンヘラで決まりやん!」

 

「でもわからへんねんな」

 

「何がわからへんのこれで」

 

「俺もメンヘラと思ってんけどな、オカンが言うには、ふきのとうが好物らしいねん」

 

「ほなメンヘラと違うか〜、メンヘラに春の味覚わからへんもんね。そもそもメンヘラは日本食に興味を示さへんのよ。メンヘラと違うやんそうなったら〜ほなもっと他に何か言うてなかった〜?」

 

「オカンが言うには、リストカットするらしいねん」

 

リストカット?ほなメンヘラやんか〜リストカットなんてメンヘラの象徴やからね」

 

「手刀でするんやけどな」

 

「ほなメンヘラと違うやないか!メンヘラはね、道具なしでは、自分の体を傷つけることすら満足にできひんのよ。悲しいけどメンヘラってそういうもんやから。メンヘラと違うやん!なんで絶対メンヘラやのにメンヘラと違うの〜?もっと他に言うてなかった〜?」

 

「オカンが言うには、意味深な短文ツイートを連投するらしいねんな」

 

「メンヘラやないか!あれは一体何がしたいんや!一つにまとめればいいのに、連続でツイートするからタイムラインが埋め尽くされて、結局ミュートすることになるんやから!メンヘラで決まりやん!」

 

「わからへんねん」

 

「何がわからへんねん!」

 

「俺もそう思ったんやけどな、オカンが言うには、男性らしいねんな」

 

「ほなメンヘラと違うやないか!男のメンヘラなんておるはずがないのよ!仮に居たとしてもね、男のメンヘラは社会的に存在が許容されてないから、統計には表れてこないのよ!メンヘラと違うやん!ほなもっと他に言うてなかった〜?」


「虚言癖があるらしいねん」

 

「メンヘラやないか!メンヘラは嘘で自分を飾り立てないと生きていかれへんのやから!メンヘラにとって嘘はアクセサリーなのよ!首元に輝く嘘という宝石が、いずれ真綿となって自分の首を絞めるとも知らずに嘘を重ね続けるんやから。メンヘラで決まりやんもう!」

 

「わからへんねんな」

 

「わからへんことない。オカンの親友はメンヘラや」

 

「俺もそう思ったんやけどな、オカンが言うには、俺やオカンはそういう性格には絶対ならへんって言うねんな」

 

「ほなメンヘラと違うやないか!誰でも外部的な要因によってメンヘラになりうるんやから!メンヘラを対岸の火事と思って馬鹿にしてると、自分自身が精神を病んだ時、過去の言葉が自分に返ってくるのよ。メンヘラってそういうもんやから!ほんまにわからへんやん!どうなってんのよ〜!」

 

「オトンが言うには」

 

「オトン!」


ツンデレちゃうかって言うねんな」


「いやツンデレ手刀で手首切らんやろ。もうええわ、どうもありがとうございました〜」